【Branded Shorts 2018 Shortlisted】母の味噌汁(日本)

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【Branded Shorts 2018 Shortlisted】母の味噌汁(9:38/日本/2017)
 
広告主:中外製薬株式会社
広告会社:株式会社 電通イースリー
制作会社:株式会社nice
監督:佐藤 太
 
【タグライン】
いつもどおりの暮らしを続けるために。あなたらしい人生を歩み続けるために。
 
【あらすじ】
故郷に一人で暮らす母の家を訪れた一人息子の賢治。母は数年前に骨折し、骨粗鬆症と診断され、次に骨折したら寝たきりの原因になると医師から言われている。賢治は母に同居を提案しているが、はっきりとした返事がもらえずイライラしている。そんな母を説得しようと一人で実家に来たが、話をはぐらかされ、なぜか買い物に連れ出される。訪れた市場で、賢治はお店の人々と楽しそうに触れ合う母の姿を見る。帰宅後、同居の話を切り出した賢治に、母は突然味噌汁を味見させる。そして「これからもこの味噌汁の味を守っていきたい」と告げ、賢治はこのまま故郷で暮らしたいという母の本心を知る。翌日、病院で医師から「お子さんの世話にならないためにも、治療を継続しましょうね」と言われ、母は笑顔になる。賢治は母の気持ちを尊重し、離れて暮らしながら、母を見守っていこうと決心する。
 
【コンテクストの説明】
日本では昔から、親と子供家族が一緒に暮らすことが、家族の幸福の形だと考えられてきた。しかし現代では、親も子も人に気を遣わずに自分の時間を大切にしたいと考える傾向がでてきている。この固定観念と現代人の本心のギャップを描き、骨粗鬆症の継続治療の重要性を浮き彫りにしたいと考えた。また日本人は自分の本心をストレートには語りたがらず、本心を察してほしいという傾向がある。そこで味噌汁を母の独立心のシンボルとして描き、息子は味噌汁の味見を通して母の本心を知るというストーリーで、患者とその家族の共感の獲得を狙った。
 
【制作の目的】
骨粗鬆症は、骨折のリスクが高くなる病気であり、骨折は寝たきりの原因となる。骨粗鬆症治療を継続して行うことで骨折リスクを低下させることができるが、治療を途中でやめてしまう患者が多いことが長年の課題になっている。骨粗鬆症は「沈黙の疾患」と呼ばれるほど症状を感じづらく、患者が治療の効果を実感しづらいこともあり、「治療を続ける理由に納得できていない」のではないかと推察した。そこで、多くの患者とその家族が抱えている「同居問題」をテーマにした物語を企画し、子供の世話にならずに、健康で自分らしく生きることの喜びを描き、骨粗鬆症の継続治療の理由を納得してもらおうと考えた。
 
【応募作品を通して伝えようとしたメッセージ】
健康寿命の重要性が高まっている日本において、骨粗鬆症による骨折は大きな問題と言える。骨粗鬆症患者に対して、治療を続けることで骨折のリスクを減らせることを伝えたい。そして健康で自分らしく生きていくために、骨粗鬆症の継続治療が必要だと感じてもらいたい。
 
【クリエイティブにおける工夫とその意図】
物語のリアリティを高めるため説明的なシーンを避け、母の本心をモノに例える物語にしようと考えた。そこで、日本の典型的な家庭料理である味噌汁をモチーフに選び、母の歩んできた人生の象徴として描いた。母が味噌汁の味に思いを込めて賢治に本心を理解させるシーンでは、2人の住む世界の違いをはっきりと示す必要があった。そこで2人の顔を皺が見えるほどのアップで捉え、よく知っている人の知られざる一面を知った時に感じる驚きを表現した。