【寄稿記事】企業によるブランディングと国際短編映画祭(文化通信)

ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 
チーフ・プロデューサー/株式会社FROGLOUD 代表取締役
諏訪 慶

文化通信ジャーナルに、ショートショート フィルムフェスティバル & アジア チーフ・プロデューサー/株式会社FROGLOUD 代表取締役 諏訪慶による寄稿記事が掲載されました。

(文化通信社「文化通信ジャーナル」アルバムは語る 2017年2月号より)

 


 
米国アカデミー賞公認、アジア最大級の国際短編映画祭、ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)は、1999年に東京・原宿で生まれ、今年19年目を迎えます。当映画祭には、毎年25分以内の映像・映画が100を超える国と地域から集まり、今年は過去最高の8500作品以上が既に集まっています。
 
オフィシャルコンペティションの他、環境や、CGアニメーション、など様々な部門がありますが、昨年、企業やエージェンシーがTVCMでは伝えきれない内容を主にオンライン用に表現した映像(通称:ブランデッドムービー)を専門に扱う公式部門、Branded Shortsを設立しました。
 
この部門の設立に至るほど、ブランデッドムービーが増加している背景には、顧客が商品の購入をするまでの工程(カスタマージャーニー)が著しく変わってきた点にあります。ひと昔前は、企業はCMをどんどん打ち、顧客はCMを見て、「欲しい!」と思い、お店へ行って購入するというシンプルな図式でした。AIDMA理論が21世紀初頭まで変わらず続いてきたのです。
 
その後、インターネットの発達や初期のSNSの登場により、AISAS理論を2004年頃に電通が提唱しました。TVCMで関心を持ち、そのまま、アクションするのではなく、インターネットでの検索と情報共有工程が加わった事で、企業は単にTVCMを打てば、購買に繋がる時代ではなくなってきたのです。
 
SNSの発達と共に、カスタマージャーニーは更に複雑化しています。企業や広告会社はTVCMでは表現しきれない自社のブランドミッションやフィロソフィーなどの「WHY?」を、メディアの特性を踏まえ、いかに伝え、Brand Behaviorを創造するか?その結果、顧客とのEngage(関係)をどこまで深めるか?そこから、いかにActivate(起動・活性化)させるか?が大切になってきました。
 
現在、企業も広告会社もブランデッドムービーの制作におけるKPIを模索し続けていると感じます。カスタマージャーニーの変化と接触メディアの多様化から、デジタルマーケティングにおけるブランデッドムービーのKPIがYouTubeの再生回数だけであるはずがなく、企業はコンテンツを継続的に発信し続け、顧客をいかに継続的にファン化できたか?制作したブランデッドムービーが、このストックされるブランディングへどのように寄与出来たか?その数値をKPIに出来ればこの分野はもっと発展していくと思います。
 
一方、当映画祭のBranded Shortsは、協議を重ね、態度変容までを重視する従来の広告祭を目指すのではなく、ブランデッドムービーのクリエイティブを評価する事を目的に、
●アイデア
●シネマチック
●エモーショナル
●ストーリーテリング

これら4つの映画祭としての視点で選出した作品を紹介していきます。現在、今年の映画祭に向け作品を募集しています。
 
また、映画祭だけではなく、SSFF & ASIAに集まるクリエイターと共にブランデッドムービーの企画・プロデュースを行う関連会社、FROGLOUDの設立、さらに、ウェブ上の研究機関、ブランデッドムービーラボを株式会社オプトと2016年6月に発表しました。
 
SSFF & ASIAは、国際短編映画祭の顔に加え、Branded Shortsという独自の視点による日本初の国際広告祭としての機能を併設する、複合型でリアルなランキングプラットフォームとして、これからもショートフィルムの可能性を創造し続けたいと思っています。
 
※参照
・電通報/Innova